東京に遊びに行きました。
気ままなぶらり旅をしようと計画して、泊まる場所は空港近くでまぁいいかと考え羽田空港近くの穴守稲荷駅周辺のホテルに泊まることに。
駅周辺は生活臭(ゴミの日が近かったのかゴミ袋が積んであった)漂い、商店街とも住宅街とも言えない色々混じる狭い通路を車と人が行きかう。
そんな、しっかりと管理された街中で泊まると味わえない人間の香りを楽しみながら、周辺案内の看板をじっくりと眺めてみる。
すると、穴守稲荷神社という名前が目に入りました。
稲荷神社系統は自分が住む地元にはほとんどなく、あっても普通の神社より小さい社。狛犬や鳥居もない。末社というやつでしょう。
しかし、目の前の看板には名所のように大きく書かれている。さぞや立派なのだろうと思い見学に行くことにしました。
でかい。
想像よりも立派で稲荷神社らしく鳥居が並んでいる。そして境内の中には小山のような場所があり、頂上に何かしら末社がある模様。
色々確認しつつ正面へ向かうと運命の出会い——稲荷の使い、狐像。
一瞬でハマりました。
なんと凛々しい面構え。左なんて目の上の模様と相まってゴルゴ13を思い起こさせる。
子供を抱えている右と玉を持つ左という狛犬の型をなぞっているのに、狐という実際の生物感が強く出ていて狛犬が放っている幻想感がない。
代わりに漂うのは野生動物と相対したような緊張感。
野生の狐を何度も見たことがありますが、非常に感覚が鋭い。50メートル以上離れていた自分の声に反応してこちらの姿を確認すると、さっと飛びのいて姿をくらましてしまう。
ふわふわと人形のようにデフォルメされるイメージが多い狐だが、本来はこの画像の狐像のように毛が短く素早さを活かす洗練された姿をしている。
大きくはなくてもあの速さで来られたら……恐ろしい。
ただ野生の狐と違うのは前足。この狐像達の足は、ライオンや虎みたいな大型肉食獣の足と人間の手を混ぜたようになっている。神に仕える獣としての特徴なのだろうか?
——などと考えながら、境内を散策開始。鳥居の多さなどを除けば、神社としてはオーソドックスな作りで安心感がありました。観光地として発展した神社とは違う、地元に根付いた神社なのでしょう。
小山も登ろうかなと近づくと、小山の下はくりぬかれて小さな社や像などが飾られた場所になっていました。
耳欠けてる・・・と細かい所が気になりますが、大小様々な狐像や置物が揃う圧巻の場所。
耳が欠けた狛狐含めた大きい像は造詣がジャッカルに近い気がします。狐はもっと顔が平べったい。
本来は野干(ゴールデンジャッカルなど)を指すので原点回帰とも言える?
迫力や力強さは鳥居前の狛狐には敵わないが、顔と体のシャープさが相まって忍者みたいな鋭い雰囲気を感じさせる。
ちょろっと写っている狐面。神事の時に使っているのだろうか?
右上の赤矢印はなんかこう、こういうのだったような? みたいな作り方をされている狐像が。鳥獣戯画の擬人化して戯れる動物みたいなゆるさは愛嬌たっぷり。
凛々しいのからゆるゆるのまで。狐像が面白い。
旅行でちょっと立ち寄っただけなのに、とても素晴らしいモノと出会えました。
狐像の魅力を追いかけていきたい。
そう思えた記念すべき日でした。
〒144-0043 東京都大田区羽田5丁目2−7 穴守稲荷神社